精神科通院⑫ 小児科の主治医は症状を全て見通していた

白目トモ子(筆者)
マスコミの片隅で息も絶え絶えの記者。週末キャンピングカー住まい。子供との野遊び、中学受験、家計簿、時短収納を記録。自身も中受経験の経験組。

小4長男の精神不調で精神科に通院中の我が家。もともとの疾患であるトゥレット症候群の専門家にかかりたいと主治医に紹介状を依頼するも断られ、途方に暮れた前回の診察日。「それでも紹介状が欲しい」と向かったのは元々相談していた家の近くの小児科でした。診察室に通されたものの…(これまでの経緯はバナーから)

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紹介状をもらうために病院はしご

「こんな状態で別の病院に行ったって行動療法なんか無理」と言われた診療を終えて、涙が止まらなくなった車中。紹介状をもらいに以前かかっていた病院に行くか、どうするか、考えます。

迷った末に、というより、悩むのに疲れ、という方が正確かもしれません。「とりあえず、次、行こう」と決め、小児科へ向かうことにしたのでした。

「薬は効いてませんでしたか?」

小児科は空いていました。10分も待たずに通された診察室で、「最近調子はどうですか?」と聞かれます。その小児科を最後に訪れたのは6月上旬。疑惑のエビリファイを4週分処方されたときが最後でした。

かなり色々ありました…。幻覚が見えるようになり、癇癪が激しくなり、鉛筆を折りまくり、塾にも行けなくなり、人格が変わったようになりました。何が悪くてどうしてそうなったのか分からないまま、インチュニブ、リスパダールと投薬を重ね、部分的には副作用なのではないかと思い至り、いったんリセットするために休薬しています…

それが正直なところですが、全部話したら「今の主治医と相談してください」と帰されてしまうのではないか…。訪問の目的は紹介状です。話すことと話さないことを慎重に選びながら伝えます。

「チックが少し悪くなったようで…」

「どんなチックが出ますか?」

「うーん、これまで通りの手を動かすチックも出るんですが、『クソだクソだクソだ』とか『ごめんなさいごめんなさいごめんなさい』とか、同語反復チックなのか汚言なのか良く分からないことを口走ったり…」

「薬はもうないですよね? 効いてませんでしたか?」

んん??

薬は「睡眠対策」だけじゃなかった

この小児科では、エビリファイはあくまで「睡眠対策」として処方されていたはずです。当時相談していたのは寝ないことと、癇癪がひどいことで、投薬してチック症状を緩和したいということではありませんでした。

「ええっと…チックにですか?」

「うん、チックに。効いてると思ったんだけどなあ」

そうだったのか。やっぱり、だから、エビリファイだったのか。

エビリファイの副作用が気になり始めて調べた時に不思議だったのが、調べれば調べるほどザ・向精神薬であるエビリファイが、なぜ「睡眠対策、気休め程度」として処方されたのか、というところでした。

調べる中で分かったことは、エビリファイはトゥレット症候群のチック症状の緩和や、自閉スペクトラム症の易刺激性(いらいらして怒りやすい)にも処方される薬だという点。まさしく、太郎向けの薬です。

トゥレット症候群とは

目をギュッとつぶったり、腕が勝手に動いたりする運動チックと、勝手に声や言葉が出る音声チックが継続して出る病気。10歳~12歳で症状が悪化すると言われており、太郎はまさに10歳で症状が悪化し始めました。

でも、処方時にはそれらの狙いについては説明されず、むしろ逆のことを言われていました。「イライラ・癇癪については、環境を改善したり本人の受け止め方を変えることによって対応するのが先」と。

(やっぱり、全部分かってて、効く薬を処方してたんだな…でも薬に頼って欲しくなくて、きちんと説明しなかったんだな…)。色々思うところはありましたが、胸の内にとどめます。

「ああ、そう言われれば、チックには効いてたのかも…。でも、きちんと観察していなかったので、6月にチックがどうだったのか、あまり覚えていないです」

ボタンの掛け違いは小児科からだった

その先生は小児神経専門医で、大学病院の小児科で発達障害や神経疾患の診療に長く携わってきた専門家です。経歴についてはもちろん知ってはいましたが、身近な小児科かかりつけ医として、体の痛みから次男のおねしょの相談までありとあらゆる相談をしてきたことから、私たちの中でも「カジュアルな治療」の位置づけとなっていました。

先生は過去の診察の中から太郎の困りごとをくみ取り、チックにも自閉スペクトラム症にも効果がありそうな薬として処方してくれていた模様。でも、私たち親の側に治療のフェーズが変わるという認識がなかった。何がエビリファイの効果で、何が副作用なのかも気に留めないまま、気休め程度の認識で飲ませ続けていた…それが、今回の迷走の発端にあった、ということのようです。

(やっぱりね…でも、そういう先生なんだよなあ)

病気は薬だけで治すものではないとの信念を持っていて、環境を整えたり、場合によっては本人の成長を待つ必要もあると。親や環境の都合で投薬することをけん制する、どちらかというと積極的な介入に慎重な先生。

(でも、今回に関しては、もっと身構えておきたかったです)

いくら副作用が軽い薬だとは言え、太郎にとっては初めての向精神薬でした。飲んでどんな変化が出るか、効果がありそうかどうか。チック狙いで出すにしても、効果は子供によりけりなはず。

先生は2回目の処方箋を出した診察で効果を確認したつもりだったかもしれません。でも、診察室の外で大変な変化が起きていて、我が家はそれに翻弄されました。もしも精神科でエビリファイを処方されていたなら、その後の変化について細かく記録し相談したでしょうが、小児科で出された薬として気軽に飲み始めてしまったがために、観察の部分が疎かになった。

本当はエビリファイを飲んだことで起きた(かもしれない)こと、全部伝えた方が良かったのかもしれない。でも、とりあえず必要なことだけ。

「それで、先生。実は今日は紹介状を書いていただきたくて」

本題に入ります。

トモ子

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