精神科通院⑬ 紹介状の中身を逐語読み上げた長男

白目トモ子(筆者)
マスコミの片隅で息も絶え絶えの記者。週末キャンピングカー住まい。子供との野遊び、中学受験、家計簿、時短収納を記録。自身も中受経験の経験組。

小4長男の精神不調で精神科に通院中の我が家。別の精神科への転院を探る中で地元の主治医である小児科を訪問。かいつまんで症状を伝えつつ、通院を希望する病院への紹介状をお願いしたところ、太郎が会話に割り込んできました。(これまでの経緯は下のバナーから)

このページの内容

紹介先の病院「良いんじゃないでしょうか」

「先生。実は今日は紹介状を書いていただきたくて」

その日は午後イチで精神病院の児童精神科を受診。そこで紹介状を断られて、小児科にやってきています。精神科にかかっていることは小児科の主治医には伝えていません。当然、インチュニブを飲んでみたことも伝えていません。

チックの症状がやはり気になること、専門的な治療を受けたいこと、受診を希望する東大病院の先生の名前を伝えます。手には東大病院の先生が監修したトゥレット症候群についての本を持って。

「ああ、その先生は勤務時代に大変お世話になった先生です。良いんじゃないでしょうか」

よし。好感触。

その小児科の先生は、過去に東大病院の小児科での勤務経験もあり、おそらく今回紹介状のあて名として挙げた先生も知っているだろうとあたりをつけていました。やはり、読み通り。

その場で書類を書いてくれた

紹介状(診療情報提供書)というと、後日受け取りに行くイメージがありましたが、その小児科はその場で書くスタイル。PCにテンプレートを呼び出して、目の前で書き始めます。

(まずい…)

太郎はじっとしていることが苦手です。それも、学校の教室のように皆が黒板に集中している空間ではじっとしていられますが、病院の診察室のように自分に関心が集まっている空間では、黙っていられなくなる性分です。

そわそわ、と太郎が動き始めます。先生が書いていることを見たくてしょうがないのです。

「(診察室の)外で待っててもいいよ」

外に出るように促しても馬耳東風。立ち上がって、先生の真後ろから、書いている内容を読み上げ始めます。

「えっ僕って自閉症なんですか?」

「うん、そうだねー。その一部の特性がありますね」

「スペクトラムって何ですか?」

「虹色って分かる? 虹色みたいにいろいろな色が変わっていく中の、どこかの色ってことだよ」

そして太郎が全てしゃべった

(ちょっと黙って座っててよ…)

私の心中の願いむなしく、ぺらぺらとしゃべり続ける太郎。

「僕、〇〇病院では、この声はチックじゃないって言われたんですけど、チックですか? そこではインチュニブ、っていう薬も飲んで、でも今はやめてます。こんな僕にも合う薬はありますか? 多動? 多動っていうのも僕の病気ですか?」

太郎の話を背中で聞きながら紹介状を書き終えた先生。書き終えたころには、事情はすべて太郎が話し終えていました。万事休す。そして振り返って先生が一言。

「病院にはあちこちかからないで、まとめた方が良いですよ」

穴があったら入りたいというか、穴があったら埋めたいというか。

「はい…」

「それから、トゥレットだけじゃなくて、色々検査してもらった方がいいですよ」

「はい…」

注意欠如・多動症と自閉スペクトラム症

とまあ、こちらが言わなかったことは全て太郎が言ってしまい、先生が書いたことはほぼ太郎が読み上げた、何とも気まずい診察を終え、無事に紹介状は頂きました。

「やった‼ これで、予約の電話かけられるね!」 ガッツポーズです。

あの、東大病院、という期待ももちろんありますが、何よりも行きたい理由が、この得意分野。

東大病院こころの発達診療部の得意分野
  • 自閉スペクトラム症
  • 注意欠如・多動症
  • チック症

この三つを得意分野に掲げている診療部なんです。こんなところ、他にありません。

そして太郎の症状は。私自身は紹介状の中身は読んでいませんが、太郎が読み上げた内容から察しは付きます。元々のトゥレット 症候群に加え、自閉スペクトラム症かつ注意欠如・多動症の特性が一部見られる。そんなところでしょう。まさしく、ドンピシャです。

ようやく言葉が与えられた

「っていうか、分かってたんなら言ってよねえ…」

その小児科には数年通っていますが、自閉スペクトラム症にせよ、注意欠如多動症にせよ、どれ一つ言われたことはありません。相談もしていません。相談してきたのはチックと、睡眠障害と、癇癪について。それらは専門医から見れば「発達の問題」と見えるのかもしれませんが、私たちの側にはあくまで個別の問題で、「発達障害」というまとまり感をもって認識してはいませんでした。

「でも、やっと、方向性が見えたかな…」

医師の口からではなく、太郎が読み上げた文言からですが、だいたい見立ても分かった。行きたい診療科も定まった。「自閉スペクトラム症・注意欠如多動症(の疑い?)」というフレーズを、診断はまだついていないという前置きは付けつつ、学校や会社に対しての説明に使えそうという部分も大きい。

「病院にはあちこちかからないで、まとめた方が良いですよ。それからトゥレットだけじゃなくて、色々検査してもらった方がいいですよ」

もちろん、その通りです。ドクターショッピングは本望ではありません。

しかし…。患者としてのコミュニケーション不全を棚に上げて言わせてもらうならば…。大元の発端はその先生が狙いをぼかしたまま、親の認識不十分な状態でエビリファイを飲み始めたことです。私たちが右往左往している状況の発端には、その小児科の先生の情報提供不足がある。

でもま、とりあえず次です。とにかく予約取らないと。紹介状はあくまで紹介状。次への扉を開けるには、もうひと踏ん張り必要です。

トモ子

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