精神科通院⑩ 精神科を受診する場合は医師の「専門」も大事

白目トモ子(筆者)
マスコミの片隅で息も絶え絶えの記者。週末キャンピングカー住まい。子供との野遊び、中学受験、家計簿、時短収納を記録。自身も中受経験の経験組。

長男(太郎)の精神科通院の話を①~⑨まで書いてきました。大きな精神病院にかかれて最初はほっと安心したものの、薬が合わないのか、太郎の本来の症状なのか、不調が続々噴出していったん断薬し、治療方法をゼロから模索中。そんなこともあり、太郎の病院、本当にここでよかったのか…と悩み始めています。

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病院が合わなくて転々とした夫

夫が長らく躁うつ病闘病中であることは折りに触れて書いておりますが、何を隠そう我が家は精神科通院歴が結婚歴より長いです。

夫が最初に精神不調を発症したのは2009年。最初はうつ病だと思って家の近くのメンタルクリニックへ。でも躁うつ病なのでしばらくすると躁転し、調子が良くなったと勘違いして病院通いをやめ、また悪くなってメンタルクリニックへ。そんな繰り返しでした。

そんなある日私がふと、「この人もしかしたら鬱じゃなくて躁鬱では」と気が付いたところが転機になります。気が付いたのは発症1年後。そこから私も介入しての病院探しが始まりました。

最初は主治医に「鬱ではなく躁うつ病では」と申し立てるところからスタート。でも鬱相しか見ていない場合は躁エピソードを話しても取り合ってもらえず、また往々にして患者の言う通りの診断は付けてくれないもので、また病院を変えて。

夫の場合は躁エピソードがそこまで派手ではないので、単純なうつ病に見えやすいというのもネックでした。多額の買い物をするでもない、事業を起こすと息巻くでもない。初見の先生から見るとうつ病に見えるのか、単純な抗うつ薬を処方され、薬のせいで躁転したり、自殺衝動が高まったりと、かなりしんどい思いをしたのです。

最終的には「学会のエラそうな先生」に転院

良い先生はどこにいるのか。地味な躁エピソードしかない夫をちゃんと躁うつ病と診断してくれる医者はいないのか。ある時気が付いたのは、きっと病気単位で学会があるだろうということ。

「躁うつ病」「学会」

調べてみると、簡単に見つかりました。学会はなかったのですが、やはり精神科医の中には躁うつ病(双極性障害)を専門領域にしている先生方がいて、「日本うつ病学会」の中に「双極性障害委員会」という組織を持ち、研究活動を行っていたのです。

リストの中から通いやすさで医師を選び、3カ月待って待望の初診。以降は先生の転院などで主治医が変わる事態があっても、双極性障害委員会に名を連ねる先生にまた転院して、治療を続けています。

長男の先生は「ひきこもり」スペシャリスト

太郎の場合は、幻覚や希死念慮が出現し始めたことが、精神科受診の動機でした。そのため「大きいちゃんとしたところ」という漠然とした病院探しとなり、最終的には夫ヒロシの主治医が教えてくれた病院に通っています。

でもそういえば今の主治医の専門って何なんだろう…。

先生の名前でGoogle検索すると本を何冊も出していることが判明。そのほとんどは「ひきこもり」について。ひきこもり。引きこもりかあ…。でも、「それってもしかしたらなんか違うかも」…。

何が違うか。誤解は承知の上で雑に言語化すると、今の主治医は精神分析的なアプローチが得意な模様。でも、太郎の病気にはもっと神経学的なアプローチが必要なのではないか、ということです。

3歳の時の先生はトゥレット専門家

いや、そうはいっても精神科の先生です。私みたいなずぶの素人に、「なんか違う」なんて言われる筋合いないのは分かります。素人は黙って真面目に薬を飲め、と思われるだろうとも思います。

でも、実は我が家は3歳の時にすでにトゥレットの専門家の神経科の先生のところに通院していまして。その時の診察のことを思い返すと、やっぱり、その時の診察ってとっても「良かった」んです。

トゥレット症候群とは

目をギュッとつぶったり、腕が勝手に動いたりする運動チックと、勝手に声や言葉が出る音声チックが継続して出る病気。10歳~12歳で症状が悪化すると言われており、太郎はまさに10歳で症状が悪化し始めました。

その時はチック症状が深刻ではなかったので投薬はなく、月に1回ほど通って問診と動きのテストをする程度。動きのテストというのは、きらきら星の手をひらひらさせる動きがきちんとできるか、立ったままその場で行進して手を上手に振れるか。

トゥレット症候群というのは脳の神経伝達物質の働きがうまくいかない病気で、そこに障害があると、きらきら星の動きがうまくできないんだそうです。そして、太郎はきらきら星の動きがうまくできません。

診察中の雰囲気は、目を凝らしてジーっと脳内の特定の場所の働きを透視するような感じ。トゥレットの子ばかり何千人も見てきた先生なので、先生の目には何かが「見えて」いる。それをひしひしと感じるような診察でした。

投薬をうけていなかったのもあり、いつしか足は遠のいてしまっていたのですが…。

治療の軸はトゥレットなのではないかと思い始めた

3歳の頃の先生の診療を思い出したのには、私が、実は今の太郎の治療の軸も、トゥレットなのではないか、と思い始めたことがあります。

太郎は実は数カ月前に訪れた整形外科で軽い側弯(背骨の曲がり)を指摘されているのですが、最近トゥレットの本を読み返していると、トゥレットでも側弯が出ることが書かれていました。

その時の衝撃は「側弯よ、お前もか」。トゥレットの子には背骨の両側の筋肉の緊張に左右差があり、それが背骨をゆがめてしまうとのこと。やはり、彼の中では、チックという形で目に見える症状が出ていない時でも、チックを引き起こす脳内の異常からくる信号が、静かに体内を巡り続けているのです。

そして、ADHDや各種強迫症、様々な不安障害はトゥレットの併発症として出ることがとても多いのです。

「何が原因か、分からない」

では、今の主治医はトゥレットをどれくらい意識しているかというところですが、診察で目の前に座る太郎にはチックよりも多動・落ち着きのなさが際立っていて、どちらかというとそちらが治療の中心になっている印象。

チックについては診察中にたびたび「チックもあるんですよね」と確認される程度。「何が原因でしょうか」との問いには「今しているのはすべて対症療法。原因は分からない」との答えでした。

確かに、患者全体を見て、今出ているものからアプローチしていくという方法もあるかもしれない。でも…以前の先生だったら、目の前で患者がチックを起こしていなくても、曲がっている背骨を見れば、その背骨から筋肉の微妙な緊張の差を感じ取るのではないか。

夫の病院探しの時、躁うつ病専門の先生に診てもらったとたんに、ぱっと落としどころが見つかったような経験をしているだけに、落としどころが分からず、病気の塊の表面を目隠しをして撫でまわしているような現状が、もどかしくてしょうがなく思えます。

「紹介状書いてください」言ってみた

もっとトゥレットに詳しい先生に診てもらった方が良いのではないか。そんな思いを深めた3回目の診察で、おそるおそる言ってみました。「ほかの病院にかかりたいので、紹介状を書いてください」

3回目にしてそれは失礼だろ。薬始めたばかりで転院もくそもないでしょ。自分の中でも当然最大限ツッコミを入れているので、最大限下手に出て、恐る恐る。

その時の先生の反応は、やっぱりね、というものでした。

トモ子

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