やってきたのはパトカー1台と、自宅近くの派出所の警察官。
「夫婦げんかで警察呼ぶ人なんているんですか!?」
私は怒り狂っていました。家庭のいざこざを自力で解決できず、警察を呼ぶなんて。それも子供たちの目の前で。ここから先の記憶は恥以外の何ものでもありません。
「いやぁ、結構いますよ」。そりゃそうかもしれない。でもそれは、暴力を振るわれたとか、もっと深刻な事態では。それに、警察に通報する側は警察に助けを求める側でしょう。
今回は夫の通報でした。夫は私を行かせまいとして通報したのです。私は一瞬の隙をついて家を出ることに成功したのにも関わらず、追いかけてきた夫に「警察が来たから」と呼び戻されたのでした。そのことも私の怒りを増幅させていました。
利用したんですよ。夫は。あなたたちを。私を行かせまいとして。思うつぼじゃないですか。
「ご夫婦別々でお話伺いますので、奥さんは、パトカーの中でいいですか?」
夫は家の中で、私はパトカーの中で、別々に事情を聞かれます。まず聞かれたのは怪我の有無。それから暴力の有無。傷害事件になるのかどうかを確かめているのか。それから、喧嘩の原因。何が起きたのか。そして、喧嘩を子供が見ていたのかどうか。これは、子どもの面前の夫婦喧嘩自体が、子どもへの虐待にあたるから、とのことでした。
喧嘩の原因は、私が家を出ようとしたことでした。私が家を出ようとした理由は、前日に喧嘩になったことでした。前日に喧嘩になった理由は、子どもの習い事の忘れ物の件で夫に確認したところ、夫が気分を損ねて牛乳パックを投げつけたからです。怪我は、擦り傷をちょっと。喧嘩は子供の面前で。「見ていましたか?」「はい、見ていました」
一通り事情を聞き終え、警察官は署と電話してきますと言って車を出ました。一人残されたパトカーの車内から、家を見上げます。
子どもたちは何してるんだろう。この後どうなるんだろう。警察官からは、「場合によっては署まで来てもらう」と言われていました。場合によって、ってどんな場合? 今、警察官は、署と電話して何を話しているんだろう。
警察官が戻ってきました。「奥さん、すみませんが…」。あーあ、やっぱり。「今から旦那さんと警察署まで来てください」
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