別居の原因は何だったのか③ 長男の精神不調が最大の試練に

白目トモ子(筆者)
マスコミの片隅で息も絶え絶えの記者。週末キャンピングカー住まい。子供との野遊び、中学受験、家計簿、時短収納を記録。自身も中受経験の経験組。

別居に至った原因について、2回にわたって書いてきました。これまで書いてきたのは、夫の病気と教育観の違いについて。最も根源的な原因としてはやはり夫の躁うつ病があり、教育観の違いに端を発する喧嘩が、躁うつ病による異常なイライラによって煽られて繰り返し炎上していくようになり、その状況に私が心底疲れ果てた、というのが大きな流れだったと思っています。

もう一つ要素として加わってきたのが、長男の精神不調でした。長男の精神不調自体が別居の理由になったということではなく、長男の精神不調に対して夫婦で力を合わせて向き合えなかったことで、夫婦間に亀裂が入ったという意味で。

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幻覚が見え、毎日死にたいと訴えていた長男

長男の精神的な不調が本格的に始まったのは2022年の5月頃でした。おそらくきっかけは中学受験塾の通塾がはじまって生活リズムが崩れたことと、中学受験の勉強に当初は馴染めなかったこと。通塾の疲れとストレスに加え、塾がない日も分からない問題に取り組まなければいけないという負荷がかかり、長男は荒れ狂うようになりました。

長男の状態が落ち着かないまま突入した夏休み。ちょうど精神科通院が始まり状況が好転するかと思いきや、薬が合わなかったのか長男の状態はさらにひどいことに。

家の中のありとあらゆる場所に小さな生き物が見え、窓の外には大きな顔が。本棚の中から誰か見ていると泣き叫んで本を投げつける長男の姿はまさに狂気。統合失調症か何かかとすら思うありさまで、このまま私たち家族はこの子が正気を取り戻さない生活を続けるのかもしれない、とすら覚悟しました。

夫婦ともに精神的余裕を失った

長男対応の中心は私でした。在宅勤務で長男といる時間が長く、必然的にその役割を担うことに。しかし在宅勤務とはいえ早朝から働くことも多く、私は長男のケアと仕事のダブルワークで、精神的疲労を溜めていきます。

子育てが大変なら、本来は夫婦同居の方が楽なはずです。でも、我が家の場合は逆でした。夫は長男の精神不調の原因は私の教育が間違っているからだと、責める側に回ったからです。

前回のエントリーで書きましたが、夫自身が親からの過剰な期待に苦しんだ経験があり、塾生活に苦しむ長男の姿に過去の自分を投影し、過去の自分が抱えた自分の母親への複雑な思いを、私に振り向けたのでした。

同時に、夫自身も長男の精神不調に引きずられ、持病の躁うつ病が悪化。長男が自室で寝られなくなり、家の中のありとあらゆる場所で寝るようになったことで、夫婦も寝る場所を失い、家の中で転々としながら寝る場所を探す生活に。生活リズムが崩れたことで夫は精神的安定を失っていきました。

私たちはお互いに怒りを溜めていました。私は夫が私ほどには仕事を犠牲にせず、長男の精神不調の対応も不十分である点について。夫は私の対応こそが長男の精神的不調の原因であり、中学受験から撤退すべきなのにそれを受け入れないという点について。

お互い、相手が溜めている怒りは理解していました。しかし、お互いに、その批判は的外れであると思っていました。だから議論は常に平行線。結局最後は罵りあうようにして終わる。そして罵りあう私たちを見て、長男はさらに精神バランスを崩していく。私たちはどこから脱出すれば良いか全くわからない、負のスパイラルにすっかりはまり込んでしまっていたのでした。

要因を解きほぐしてみる

今まで三つの要因を挙げてきました。夫の躁うつ病、すれ違う教育理念と夫のトラウマ、長男の精神不調です。この中で何が最も根が深い問題だったのか? 私は別居を始めて3カ月間、ずっとそれを考え続けていました。何が悪かったのか。どうして家族はうまくいかなかったのか。

それが分かったのは、12月。夫から明らかにイライラが消えたのでした。同時に私への敵意も、長男の教育をめぐる意見の相違も消えました。喧嘩がいつも想定外の方向に炎上していくこともなくなりました。斜め上からの罵詈雑言が飛んでくることも。

何が起きたか。夫が薬を変えたのでした。薬を変えたことで躁がより抑えられるように。つまり。夫から発せられていた刺々しい空気は、「躁」が引き起こしていたものだったのでした。

トモ子

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