どストレートな「お母さん大好き」に困惑 本番まで55日

白目トモ子(筆者)
メディアの片隅で生き延びてきた物書き。小学生男児2人を育てる。目下の悩みは不登校で発達特性ありの長男の中学受験。
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12月8日

19:15 SS終わり長男から電話「今日は外で勉強したい」 

SSが終わった長男から電話があった。「今日は外で勉強がしたい」とのこと。気分がいい時、彼は外で食べたがる。案の定、理科と社会でクラス1位だったらしい。コメダ珈琲に行くことになり、9時まで粘るつもりのようだ。

ただ、算数については一切触れなかった。きっとこちらは振るわなかったのだと思われる。まだこれからこれから。理科と社会でしっかり点を稼ぎ、算数は合格者平均点を取れば、合格圏に届くはず。今は焦らず、その調子で進めばいいと思う。

20:00 「お母さん大好き」を公言する長男は大丈夫なのか

今日は、しばらく出張で不在にしていた夫が帰ってくる日。我が家では夫が食事担当で、本当は久しぶりに家で食卓を囲みたかった。そんな話をしていると、長男が含み笑いを浮かべて聞いてきた。

「知ってる? お父さんが料理する理由」

夫が常々言っていることを私は知っている。

「知ってるよ。私を幸せにするためでしょ」

「そうだよ。僕でもなく、次男でもなく、お母さんのために料理するんだよ。ずるいよね」

「それが円満の秘訣なんだよ」

「僕も、お母さんを喜ばせたいから勉強するじゃん」

「そうだね」

「みんなお母さんを喜ばせたがってる」

「責任重大だよね。たくさん喜ばないと」

会話をしながら、次第に複雑な気持ちになった。長男は、受験に対して特段の熱意を抱いているわけではない。「ここに行きたい」と熱望する学校もある一方で、結局はどの学校も「いい面」だけを見せているのだろう、という冷めた考えも同時に抱いている。どこかに、学校そのものに対して距離があり、強い思い入れを持つことを避けているような節がある。

そんな中、最近になって、彼が唯一現実感を持てるのが、私が喜ぶ姿なのだと言いはじめた。勉強を頑張る理由は「お母さんを笑顔にすること」だと公言するようになり、そのことが私を悩ませていた。

昨日、ブログの整理をしながら過去の記事を読み返したことで、この「悩み」は次第に「困惑」に変わってきていた。過去の長男は決して、親に対してストレートに愛情を表現する子どもではなかった。たとえば、ある記事ではこんなやり取りが記録されている。「せめて、『ありがとう』と言うのはどうだろう」と提案する私に対して、「頑張るのは僕なのに、どうして僕が『ありがとう』と言うの」と言い放ち、感謝の言葉を頑として口にしなかった。

あれほど「小生意気な子供」だった長男が一転、最近は事あるごとに「ありがとう」と口にし、「お母さんを喜ばせたい」「お母さんが大好き」と言い、私が近くにいないと「寂しい」とストレートに伝えてくる。大丈夫なんだろうか、この子は。大丈夫なんだろうか、我々は。もちろん、親子関係が破壊されてしまうよりは遥かにマシだ。だが、ここまで母子が密着してしまうのは、一体どうなんだろう。先々、彼はきちんと親離れできるのだろうか。

勉強を通じて、親の関心を惹こうとしているのだとしたら、それは困る。そう思いながらも、今は突き放すこともできない。にっこりと笑顔で私を覗き込む長男に、曖昧に微笑み返すことしかできない。

太郎

今はだいぶ落ち着いたけど、相当山あり谷ありの2年間だったよね。

トモ子

何度も塾にも行けなくなったし、発達外来で薬ももらって、やっと調子が整ったよね。調子も成績も整ってきたのは、6年の秋だった。

 
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