母も倒れた④ 夫婦間に隙間風 限界を迎えた日

白目トモ子(筆者)
マスコミの片隅で息も絶え絶えの記者。週末キャンピングカー住まい。子供との野遊び、中学受験、家計簿、時短収納を記録。自身も中受経験の経験組。

精神不調の長男に寄り添いながら過ごした夏休み。業務量を絞って在宅勤務は続けていましたが、徐々に集中することが困難になっていきました。夫婦ともにいっぱいいっぱいで、夫婦間にも徐々に隙間風。これまで辛うじて成立していたチームワークが機能しなくなり、私の負担感は限界を越えました。

このページの内容

限界はすぐそこに

夜の取引先との接待を終えて、日付が変わってから帰宅した夫。

(同じだ。これまでと同じ。家庭が詰んだら仕事に逃げる)

言うとますます空気が悪くなるので言いません。そして言い返される言葉も分かっています。「仕事なんだよ。別に行きたくて行くわけじゃない」

心の中で思います。行きたくないなら「すみません、ちょっと家族が」と言って適度な時間で切り上げて帰ってこれば良いのに。それをしなかったのは、家にいるよりはましだったからでしょ? 癇癪をおこして親にもきょうだいにも難癖つけて叫び続ける子供の相手をしているより、ずっと。

誰からも褒められるいいパパ

「優しくて、育児にも積極的で、家事も沢山やってくれて、良い旦那さん」

よく言われます。対して私が言われるのは、その真逆。

「ヒロシさんの奥さん、怖いっすね」

夫がおどけて恐妻家ぶるのも、パパ友サークルのネタ。

苗字も変えたくない、家事育児は折半かそれ以上の関わりを望んだ私にとって、夫は私が出会った中では最高のパートナーでした。私も分かっています。夫が仕事を相当に調整をして家庭に関わっていることも。そこまでの努力をする男性が、いまの社会ではレアなことも。

積もり積もった恨み

でもなぜか、私の中には積もり積もった恨みがあります。

育休であれ、コロナ禍であれ、親子が家庭という密室でにらみ合う時間が続くとき、家庭にこもる側の役割を引き受けてきたのは私でした。夫はどの局面でも育児に相当量の関与を続けてきましたが、家庭にこもる側に立ったことはありません。

会社の制度や職場の配慮の受けやすさから、相談するまでもなく私が自然と引き受ける。夫はできる範囲、できる限りのことをする。私たちの働き方では、この役割分担が最もマシでした。

そして、分かってきました。

夫ができる範囲でどれだけ貢献しようとしても、それが「可能な範囲」である限り、今回の太郎の精神科通院の一件のような一大事が起きた時、夫婦の負担は決して50:50にはならないこと。家庭側で一手に引き受けた側の方が、仕事ではより多くを犠牲にすること。我が家の場合は、よりキャリアを積んできた私の側が、よりキャリアを犠牲にすることになるという、ねじれが生まれること。

しかし、夫婦の収入を最大化するという観点からすると、やむを得ないのです。なぜなら夫の職場では、私のように業務量を大幅に絞りながら仕事を続けるという、柔軟な働き方がそもそも選択できないからです。

無言の抗議「俺だってこれだけやっている」

夫に対して怒りの感情が湧いたとき、私はよく分からなくなります。私は夫に対して怒っているのか。それとも、男社会というものに対して怒っているのか。

夫が「遅くなる」という連絡を入れなかったという問題はあります。でも、そもそもそんな状況になるのはなぜ? 子どもがのっぴきならない状況であることを会社で共有できない空気。そもそもの接待という営業スタイル。帰りが午前様になるまで取引先を連れまわす、子育て世帯とは相いれない慣行。そしてそもそも、夫が私ほどには仕事を減速しない、できないという制約。

同じような壁にぶつかるたび、何度も何度も繰り返した夫婦喧嘩。これまで鬼嫁という呼称をほしいままにした私は、今回もしょうこりもなく怒っていました。そんな私の殺気を夫は敏感に察知します。そして無言で怒り返します。(俺だって、これだけやってるのに)

投げつけられた砂袋を受け止められずに

私の限界はあっさり訪れました。

飲み会の一件があった数日後、夫はまた長男を外回りに連れ出してくれました。時間は朝8時から11時ころまで。すっかり会話がなくなった我々。「連れて行くから」の一言で夫は長男を連れ出し、帰宅時には無言。

「そろそろ帰るよ」も、「午後はお願いね」もなく、単に持ちだしたものを所定の位置に戻しに来た、というような立ち去り方で、夫は会社に向かいました。

夫が去った家の中。「もう、無理だ」。はっきり実感しました。長男には申し訳ないことですが、その時期の私にとって、長男は中身が詰まった重い砂袋のような存在で、その日の無言の帰宅は、ドンっと不意を食らって砂袋を投げつけられたような感覚。

気持ちの準備ができていなかった私はその砂袋を受け止めきれず、地面に落ちた袋の口がはじけ飛び、中に詰まっていた砂がこぼれだしていく様子を、ただただ立ち尽くして眺めていました。

トモ子

お読みいただきありがとうございました。ブログランキングに参加中です。クリックして頂けると次の記事へ励みになります。よければぽちっと…喜びます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

他のテーマで探したい

このページの内容