算数過去問 最後のチャレンジで合格者平均超え 本番まで12日

白目トモ子(筆者)
メディアの片隅で生き延びてきた物書き。小学生男児2人を育てる。目下の悩みは不登校で発達特性ありの長男の中学受験。
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1月20日

最後の過去問

最後に過去問を解くのは、1月20日と決めていた。サピックスの保護者会で、「過去問はどんなに遅くとも1月20日くらいまで。それ以降は新しい年の分は取り組まないで」と指示されていたからだ。デッドラインを設ける理由は、入試目前に新たに悪い点を取ってしまうと、気持ちの立て直しが難しくなる、というものだった。

というわけで、最後の過去問デー。選んだのは、長男が受験するかどうか迷っている、あの学校だ。これまで合格者平均点はおろか、受験者平均点にすら届いたことがない。惨憺たる戦績に嫌気がさして、12月下旬以降は解くのをやめた。そして、忘れもしない12月25日、「受けない」と宣言してからは、その学校の名前に触れることすらタブーのような空気が漂っていた。

しかし、ここ最近、SSの志望校対策講座では意外と健闘している。最初は20点台だった算数が、その倍近く取れるようになり、クラスの真ん中より上に食らいつけるようになってきた。我が家の得点戦略である「理社で稼ぎ、算数で落とさない」を考えると、今の流れは非常に理想的だ。

そこで、今日解いてもらう最後の過去問は第一志望の算数に決めた。算数が伸びた手応えを、改めて確認する。そして、その結果をもとに、受けるか回避するかの最終判断を下す。結果が悪ければ潔く諦め、良ければその答案を枕元にでも置いて、本当に諦めるのか、もう少し悩んでもらう材料にしてもらう、という位置づけだ。

睡眠は万全に

たかが過去問、されど過去問。今後の人生すら左右するかもしれない重要な一回になることを予感し、私の中では気分は本番。昨日は21時から寝室に行かせ、22時には寝たのを確認。しっかり睡眠を取らせ、万全の状態で臨ませたかった。12月下旬、最後の他塾模試で大撃沈した彼の心を、会心の一撃で奮い立たせたい。

太郎

凸凹中受、2月1日開成受験へ向けラストスパートだ!

白目太郎の中受のこれまで

小4でS入塾。S偏55からスタート。同年、発達特性と高IQが判明。ADHD薬の服薬で落ち着きのなさはおさまり、クラスはαに上昇。

小5秋に大失速、サピックス退塾。転塾、再度の退塾を経て小6の夏前からサピックスに復帰。11月にS偏65に到達。志望校を開成中学に変更し、最後の一踏ん張り中。

そんな私の心は当然長男は知らない。いつも通り、その日の勉強内容を確認する流れで、「今日は過去問やってみようよ」と、差し出したのは2010年代の問題。まだ解いていない古い3年分の中で、最も長男が解きやすそうなものを選んだ。もちろん、これも長男には秘密だ。

久しぶりの第一志望算数。一瞬難色を示した長男だったが、「最近調子いいし、やってみよう」と声をかけると、素直に机に向かった。過去問を解きはじめた夏から、何よりも過去問が好きだった。実際に出題された問題で、合格ラインを越えられるのかどうかの戦い。受験予定がない学校でも、もっと解きたいとせがまれた。今日も、これまでと同じように、すんなりと集中モードへ。「長男の抵抗」という最初の関門は突破だ。

点数はまさかの

そして60分。「めちゃくちゃ集中できた!」と、解き終わった答案を手にやってきた。クリアな集中力——これについてもミッションクリアだ。心の中でガッツポーズを決めつつ、肝心の点数はいかに。期待しているのを悟られないよう、あえて短く「お疲れ様」とだけ返す。

「何点だったでしょう?」

クイズ形式で点数を開示するのは、成績が良かった時の彼の決まり文句だ。こういう時は、こちらもハードルを上げすぎないよう、低めに球を投げておくのが鉄則。

「んー…40点くらい?」

「もっと高いよ。」

「え? じゃあ、50点?」

低めに予想する私に顔をしかめながら、長男が解答用紙をずん、と突き出した。

「62点でした。」

予想外の数字に、私の目が思わず丸くなる。これまで、志望校講座で解いてきた過去問では、どんなに調子が良くても50点台が限界だった。そっくり問題は本番より難しめに作られていると聞いてはいるけれど、それにしても——。

さらに長男は、私を驚かせる言葉を放った。

「簡単だったよ。」

嬉しさを隠したいのか、怒ったような口調で続ける。

合格者平均点を「1点」超え

「サピックスの先生が言ってた。『君たちはサピックスで徹底的にいじめ抜かれます。それは、本番の入試で”簡単じゃん”と思えるようにするためです』って。本当だね。簡単だった。で、これ、平均点何点なの?」

今回の過去問を選んだ理由は、未着手の過去3年分の中で合格者平均が最も高かったからだ。だから、点数は、覚えている。

「61点だよ。合格者平均が。」

次に目を丸くしたのは、長男だった。まさかの、1点超え。受験者平均点を目指してきた我々からすれば、合格者平均点にはたとえ1点及ばずだったとしても喜びは十分だったはずだ。でも、超えてきた。まさかのまさかの、最後の過去問で。

「やったじゃん!!!!すごいよ!!!!!」

大声で喜ぶ私を、長男が少し複雑そうな顔で見ている。僕、ここ、受けるのかな? 本当に受けていいのかな? そんな迷いが、表情の端々に見え隠れしている。

太郎

今はだいぶ落ち着いたけど、相当山あり谷ありの2年間だったよね。

トモ子

何度も塾にも行けなくなったし、発達外来で薬ももらって、やっと調子が整ったよね。調子も成績も整ってきたのは、6年の秋だった。

 
 
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