1月17日
最後の伸び代は
相変わらず、目の色がそこまで変わらない。「そこまで」としたのは、ほんのりと変わりつつあるような気配を感じるから。ただ、学校にも行くし、公園にも遊びに行く。普通に小学生らしい暮らしを満喫する中で、「ここはいっちょパシッと勉強キメてやる」という瞬間が、1日に30分くらいはある。けれど、やっぱりその程度である。
凸凹中受、2月1日開成受験へ向けラストスパートだ!
白目太郎の中受のこれまで
小4でS入塾。S偏55からスタート。同年、発達特性と高IQが判明。ADHD薬の服薬で落ち着きのなさはおさまり、クラスはαに上昇。
小5秋に大失速、サピックス退塾。転塾、再度の退塾を経て小6の夏前からサピックスに復帰。11月にS偏65に到達。志望校を開成中学に変更し、最後の一踏ん張り中。
あまりにマイペースな長男に、「12月に『1月20日ごろになったら流石に本気になる』って言ってた予言通りだね」と伝えると、しばらく考えたあとで、「カラコン買っておいて」と返された。目の色が変わらなかったら、カラコンで誤魔化すつもりらしい。
そんな長男にも、ようやく最後の伸び代らしきものが見えてきた。なんと、四則演算。特に□の入る割り算の計算が大の苦手で、ずっと逃げ回ってきたのだが、ついに向き合い始めた模様。
□のあいつ
たとえば、こういうやつだ。
単純な話で、÷□は移項して×□にしてしまえば済むだけの話なのだが、長男はこういう「疑問を挟まず手順を覚えて手で解く」タイプの問題がどうにも苦手だ。どうやって解くかというと、なんとなく数字の大きさをイメージしながら最終的には比の考え方で解くのだとか。
□の計算を我流でやっていることには、以前から気づいていた。これまで何度も指導を試みてきたものの、そのたびに挫折してきた。=を跨いで右に動かしたり左に動かしたりする「操作」に、数的なイメージが湧かず、どうにも馴染めないらしい。
ゴリゴリ公文育ちの私からすると、「操作」を覚えてしまえば見た瞬間に手が動くのに、なぜいちいち「数字の大きさ」をイメージしに行くのか、まったく理解ができない。効率を考えると、彼の方法は遠回りで無駄が多いとしか思えないのだが、本人にとってはその「イメージするプロセス」が不可欠らしい。
長男のやり方で解こうとすると、脳を稼働させるタイミングが多すぎる。全てを書き出すわけでもないため、短期記憶に頼る部分が増え、結果的にミスが多発する。そのミスの多さに、ついに嫌気がさしてきたのか、「どうやって解くの?」と教えを請われた。
遅いよ。でも、間に合ってよかったと思うべきか。
山本塾も
それ以外にも、最近基本に戻ってやり直していることがある。山本塾の計算ドリルだ。12月から計算ミスが多発し始めたため、以前取り組んでいたこのドリルをミス撲滅を狙って再導入した。
長男のミスは、大きく分けて2種類ある。ひとつ目は、問題文をちゃんと読んでいない系のミス。算数の問題でも、国語の選択問題ばりに念入りに読めと日々言っているのに、まるで速読の練習をしているかのような勢いで流し読みする。
その結果、重要な情報をかいつまむだけで解き始めるものだから、そもそも聞かれてもいない方向へ猛ダッシュ。当然、答えも明後日の方向を向いているのだが、解答を書く前に問題を読み返すなんて気の利いたこともしない。そのまま突っ走って間違える。これがまず一つ目。
もう一つは、計算の取り違え。たとえば、計算途中で「2×3」がいつの間にか「4×3」になっているようなミスだ。頭の中がとっ散らかっているせいで、脳内を飛び交う別の数字を間違えて引っ張り出してしまう。このタイプのミスに関しては、山本塾のドリルがほんの少し役立っている気がしている。
ミスしやすい数字
山本塾を再びやり込むうちに、長男は自分がどの計算でミスをしやすいのか、少しずつ把握し始めたらしい。たとえば、「4」が出てくる計算。一瞬、「7か4かどっちだったか」と、脳内で「迷い」が生じるのだそうだ。どうやら特定の数字が頭の中で混線しやすいらしく、余計に一段階確認を挟む必要があるようだ。
これも、いかにも長男らしいプロセスだ。長男の脳はどうも情報を過剰に繋げすぎる傾向がある。その性質は、社会の網目のように知識を関連づけて広げていく力として発揮されることもあるが、「数」を「数」としてシンプルに扱いたい場面では、むしろ障害になる。数にいちいち何かしらのイメージを付随させてしまうと、その操作に無駄な手間が生じるからだ。
「4」を見た時に一瞬「7」と迷ってしまうのは、どちらも「し」という音を連想するからではないかと推測している。このような「連想」が他の数字でも発動してしまうことがあり、これが長男の計算ミスを招く一因になっているようだ。山本塾のドリルは、高速で数字を処理する訓練になる。そのため、この余計なつながりを断ち切る効果が、多少なりとも期待できるように思える。
山本塾のドリルには、もう一つ、頭の先走りを防ぐ効果もある。どれだけ頭が先走っても、手が追いつかなければ解答は書けない。そのため、自然と頭の回転を少し抑えてコントロールするようになる。長男の場合、頭の回転が早すぎることがかえってネックになることがあるので、この点でも良い訓練になっていると感じる。
今はだいぶ落ち着いたけど、相当山あり谷ありの2年間だったよね。
何度も塾にも行けなくなったし、発達外来で薬ももらって、やっと調子が整ったよね。調子も成績も整ってきたのは、6年の秋だった。