1月2日
20:00
強烈な個性
11月に志望校を変更し、志望校対策講座のクラスを変えた長男。新しいクラスになってから、級友たちのおもしろエピソードをよく話すようになった。話を聞くに、なかなかの特性の持ち主ばかりで、シンパシーを感じているらしい。
例えばある日、「僕の前の子」のこんな話を教えてくれた。その子は、問題を解き終えてプリントが「用済み」になると、途端に暇を持て余し、紙飛行機を折り上げてしまうそうだ。それもただの紙飛行機ではなく、凝った形で見るからに手間がかかっていそうな代物らしい。
見かねた先生が「紙飛行機作らないで」と注意すると、その子は怯むことなく、こう言い放ったそうだ。
「持ち帰るために畳んでいるだけです。」
なかなか口も達者だ。小生意気な反論を受け、先生の身体中からにじみ出る疲労感を、長男はこれまた生き生きと再現しながら教えてくれた。それにしても……帰宅した鞄の中から次から次に紙飛行機が取り出される光景を想像し、思わず心の中で手を合わせる。先生、そして親御さん、日々本当にお疲れ様です。本日も快晴で……飛行機がよく飛びそうですね。
こんな子もいる。その子は授業中、何やら熱心に壁新聞を作っているらしい。内容は不明だが、プリントの表側ではなく裏側を広げて作業している時点で、先生の嘆きが目に浮かぶ。一面を新聞のように割り付け、イラストや四コマ漫画も添えられているのだろう。話を聞くに、明らかに頭の中が忙しいタイプの凸凹君だ。
そんな作業をしながらも、自身の解答用紙には「なぜ間違えたのか」の分析や正答率の記入を忘れないのだそうだ。その子の影響を受けたのか、長男も最近「間違い分析」や「正答率」を記入して持ち帰るようになった。凸凹同士には凸凹同士でしか通じ合えないフィーリングのようなものがあるらしく、長男がもっぱら刺激を受けてくるのは、そういう独特な個性の持ち主たちからだ。
凸凹中受、いよいよラストスパートだ!
白目太郎の中受のこれまで
小4でS入塾。S偏55からスタート。同年、発達特性と高IQが判明。ADHD薬の服薬で落ち着きのなさはおさまり、クラスはαに上昇。
小5秋に大失速、サピックス退塾。転塾、再度の退塾を経て小6の夏前からサピックスに復帰。11月にS偏65に到達するも、絶賛足踏み中。
以前のクラスよりも、今のクラスの方が、「うるさくて、全然集中しているように見えない子」が多いらしい。長男の集計によれば、まともに授業を受けているのは3分の1くらいで、残りの3分の2は、ペン回しの限界に挑戦したり、紙を丸めた剣で壮絶な戦いを繰り広げたり、プリントの余白を妖怪図鑑さながらに埋め尽くしたり、謎の壮大な家系図を編み出したりしているという。
どうりで、長男の特性について先生に相談したとき、先生が「このクラスでは、それが普通です」とあっさり言ってのけたわけだ。
ちなみに彼らは成績も優秀だ。件の紙飛行機職人は、今日は「2位だった」と長男が教えてくれた。「壁新聞の整理部記者は?」と尋ねると、長男は肩をすくめて、驚きの一言を放った。
「それも同じ子だよ。」
あれ? 本当にクラスの3分の2が「騒がしい子」なのか? もしかして、一人で全役を演じ分けてないか?
彼ら(いや、彼?)とは、お互いに、互いが知らなさそうな用語を繰り出し合い、言葉の強さを競う知識マウント合戦を楽しむのだそうだ。例えば、ある子が「フルオロアンチモン酸」と言えば、別の子が「日本海溝のメガスラスト」と返す、といった具合に。勝敗は、ギャラリーの「おおっ」というリアクションの大きさで決まるらしい。まさに中受版ポケモンバトル——だが、待てよ、それ中受で出るのか?
本日、長男から10個ほどの言葉を投げかけられたが、残念ながら母の戦闘能力はゼロ。同様の会話を弟に仕掛けても「知らんし」と一蹴されることの多い長男に、そんなやり取りができる場があることを、心底ありがたく思う。——家でこの手の知識を延々と聞かされずに済むという意味で。
今はだいぶ落ち着いたけど、相当山あり谷ありの2年間だったよね。
何度も塾にも行けなくなったし、発達外来で薬ももらって、やっと調子が整ったよね。調子も成績も整ってきたのは、6年の秋だった。
Coming soon
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