ご無沙汰しております。前回の投稿から8ヶ月、山あり落とし穴ありの珍道中でしたがなんとか中学受験は続行、ついに埼玉受験まで100日を切ったということで終わりも見えてきました。最近は学校別模試で想定外の大健闘をしており、改めて凸凹さんの能力は普通のテストでは計りにくいのだということを目の当たりにしました。模試の結果を受けて考えたことが今回のテーマです。
学校別の模試で理科社会で大健闘
太郎は2年前のWISC-ⅣでFSIQ145であることが判明し、「ギフテッド」をキーワードに接し方・育て方を模索してきました。ギフテッドの子育てなどというと才能を伸ばす方に関心があると受け止められがちですが、実際は過敏性や過興奮性、癇癪、ドリルなど単純作業への忌避感など、学校生活や中学受験での困りごととして現れてくるものにどう対応するか?という部分が私の関心の中心でした。実際にギフテッドの子育てをしている方も同じように感じることが多いのではないでしょうか。
ギフテッドの子供は凸凹なエンジンを積んでいるなどとも言われますが、太郎の場合、凸の部分は説明しにくいものが中心でした。全般的な知的好奇心の強さ、中でも経済や国際政治など、年齢不相応の関心が見られましたが、「大学レベルの数学を学んでいる」とか「プログラミングでこんなに難しいプログラムを組んだ」など、誰もが理解できる形の「才能」として見えてくるものはありませんでした。
この凸についての私の見方が、最近、変わってきています。きっかけは模試での想定外の健闘。小6になると実践形式を踏まえた学校別模試を受けられるのですが、複数回受けた学校別模試、どれも理社の成績が非常に良く、一桁順位もあったのでした。御三家も含むこれらの学校は記述など思考力問題が多いのが特徴で、これまで選択問題や知識問題中心のテストで評価されてきた成績は、あまり当てにならないようでした。
なぜ思考力問題に強いのか?
一つは記憶の仕方に特徴がありそうです。例えば、彼の頭の中には、世界各国の広さや人口、宗教、世界史知識などが詰まっています。これらの知識は子供新聞などを通じてアップデートされていきますが、この時、過去にバラバラに覚えたものと関連付け、一つ一つ咀嚼・統合しながら記憶し直しているようなのです。
私も情報収集が仕事なのでネットニュースから本まで様々な情報に触れますが、私自身はそれらをツイートのタイムラインのように記憶しています。何かと何かをつなぎ合わせて思考を深めることもありますが、それは基本的には、考えようとしている時にしか起こりません。ブレスト会議をするのは知っていることを一回アウトプットしてぶつけ合うことによって、思考が深まるからですよね。太郎の場合はこのブレスト会議を情報を吸収しながら勝手にやってしまっているようで、それが理解の深さにつながっているように感じます。
瞬発型問題では失点相次ぐ
その一方で、瞬発力が問われるような形、例えばジャンルバラバラ知識問題を短い制限時間で問われると、正答率が著しく下がります。
勉強がカリキュラムによって分けられたマス目(範囲)を1マス1マス塗りつぶしていくような作業だったとして、太郎はその切り分けられたマス目を綺麗に塗りつぶしていくことが苦手です。その代わり、常に何かしらの情報に触れながら、そのマス目の上にぐしゃぐしゃ・ぐるぐると線を描き続けています。
一粒一粒の知識の粒をマス目に納めていくようなタイプの学び方ができれば、知識を問われてパッと答えることもできるのだろうと思うのですが、太郎の場合はそれらの知識が線に絡め取られていて、納豆のように繋がりあってしまっています。
例えば歴史なら、どの資料のどのページのどこに書いてあって、その周りには何が書いてあったというような、周辺の状況まで合わせて浮かんできてしまいます。そのため、解答欄に書くべき言葉を頭の中から取り出すにに時間がかかります。記憶力の良さが仇になるのです。
思考力の強さは受験学年で強みになる
今までのマンスリーテストなどでは、どちらかというとこうした頭の特性に足を取られて失点する方が目立っていました。しかし、実践形式に近づけば近づくほど、総合的に考えたり周辺知識をつなぎ合わせて回答させるような問題が増え、点が取れるようになってきました。
入試問題は受験校からのラブレターだと言いますが、あなたみたいな子に来て欲しいんですよと初めて言われたようにも感じました。太郎本人も目に見えて自信が増し、前向きに取り組むようになった姿を見ていると、周りからの肯定や点数としての証明があることがやはり自己肯定感に繋がるんだと実感します。
しかし、もったいないですね。思考力を活かした取り組みがもっとあれば、学校にも楽しく通えたかもしれないのに。知識重視の教育が、思考力が高い子の自信や自己肯定感を害わせているのだと、まざまざと見せつけられたようでもありました。