わが子に中学受験させるなら、親は選挙に行くべき理由

白目トモ子(筆者)
マスコミの片隅で息も絶え絶えの記者。週末キャンピングカー住まい。子供との野遊び、中学受験、家計簿、時短収納を記録。自身も中受経験の経験組。

あなたの子どもが中学受験をする理由ってなんでしょうか。よりよい将来を願うからですよね。私自身が中学受験をした経験から、特に日本に生きる女性には、学業的な達成だけでは超えられないガラスの天井があると感じています。問題の根源はなかなか変わらない企業のマッチョ思考。子の将来のためには政治を変えるのも大事、という話です。

このページの内容

そろそろ衆院選、親は選挙に行きましょう

そろそろ衆院選です。自民党が単独過半数とも言われ盛り上がりに欠く選挙です。が!

中学受験させる親ごさん…!わが子の将来がより良きものになるよう願うなら、どうか選挙に行きましょう。

トモ子

子どもの将来の幸せは、政治によって変わります。

裏付けのあるちゃんとした話は硬派な媒体がきちんと書いていると思うので、自身も中学受験を経験した一人のワーママとして100%主観で書いています。

男女不平等日本という現実

男女不平等日本。これを放置したままでは、いくら子どもの教育に熱を上げても、将来子どもは壁にぶちあたります。

私自身は桜蔭という女子教育のパイオニア的学校を卒業し、大学・大学院・留学からのマスコミへの就職と、順調にキャリアを重ねてきました。

でも、アラフォーになってやはり思います。ここは男女不平等社会だと。

なんでそう思うか?

  • 中堅に差し掛かって会社の上の方が見えてきたとき、そこに女性が圧倒的に少ない
  • 入社数年で妊娠・出産した私には与えられなかったチャンスが、男性同期や子供がいない女性同期には与えられてきた
トモ子

ここは出産した女を淘汰してきた会社なのだと、日々実感しています。

直面するまで見えないガラスの天井

男女不平等と言われても若い人はぴんとこないかもしれません。

新入社員の半数近くが女性。海外の大学院を出ていたりバイリンガルだったり、うらやましくなるバックグラウンドの人たちです。

彼女らと話していても、子供を産んでも男女対等に開かれたキャリアを積んでいけるとイメージしている人が多い印象を受けます。

  • 子どもを産みたい。子どもは自分の手でちゃんと育てたい。でも自分も海外に行ってバリバリ働きたい。
  • 家庭と仕事の両立は可能であるべきだし、可能になるはずだと信じている。
トモ子

自分がいざ直面するまでは見えないガラスの天井なのだと思います。

学校や親の発するメッセージと現実のずれ

これ、なんでかって言うと、学校や親が超ポジティブなメッセージを発し続けているからだと思うんですよね。私自身桜蔭に在学中、国連で活躍する先輩の講演を聞く機会はあっても、子育てが大変で仕事をあきらめたなんて話は聞きませんでした。

親が伝えるメッセージも大きいです。

トモ子

「大卒でも子供を産んで仕事を辞めたらレジ打ちパートだ。仕事はなんとしてでも続けなさい」と言われて育った。

男女不平等がなお残るからこそ、わが子には良い大学に行き安定した職に就いてほしい。逆に言うと、仕事を続けさえすれば女子だからといって何かが制限されることはない、そうあってほしい、という親の願いでしょう。

でも、現実は?競争を突っ走ってきた女性は、結局育児を担うのは私たちだという壁に直面します。それは、夫婦で押し付けあった結果ではないことが多い。妻自らが選択して、壁の前に立つのです。

育児負担の女性への偏り

ある後輩の実例です。

彼女は中学から家族の仕事の都合で米国に移住し、大学まで米国で通学しました。当然バイリンガル。将来は国際的なジャーナリストになりたいと夢を語っていました。

そんな彼女が妊娠・出産。お相手は日本人の男性。産休から戻ると、時短勤務で負荷の少ない職場に配属。これからのキャリアについて相談されました。

トモ子

キャリアを追うなら、早めに希望の部署に行って、その環境の中でどうバランスを取るかを探った方が良いと思うよ。

そう言うと、彼女が言うんです。

「私、今はあまりハードな職場希望してなくて…」

トモ子

……

聞くと、夫さんは融通が利く職場ではなく保育園の送り迎えは難しいとのこと。親も日常的に頼れるわけでもないという話でした。

トモ子

優秀で夢もあって期待もされていたのに。もったいなすぎて涙が出そうだよ……。

色々思うところはあったけれど、会社から補助が出るシッターサービスを紹介するにとどめました。同時に、10年たっても、新米ママに見える景色は根本的には変わらないままなのだと、痛感したのです。

誰もが最初に飛び込むペンギンになれるわけじゃない

こういう話をすると、「やってる人はやってる」と言う人がいるんですよね。

トモ子

たいていは自分ではやっても来なかった人。

シッター、両親、保育園と使える手をフル活用して必死で両立してきた人は、「こんなの、みんなができるわけではない」って分かってます。

  • 自分には両親など頼れる手があった
  • 世帯収入が高めで、外部サービスをフル活用できた
  • 自身の健康や夫婦の幸せなんか度外視してやってきた

だから両立について聞くと、たいてい一言目に注釈をつけるんです。「私の真似をしてほしくはない」「後輩が後に続けるような働き方をしてこれば良かった」と。

トモ子

「やってる人はやってる」とか言う人は、当事者の苦しさを分かってんのかな?って思う。

先輩ママがいない職場に飛び込むのは、天敵がいないか最初に飛び込んで確かめるペンギンみたいなもんです。誰もやりたくない。そこに、自分が欲しかった夢があっても。

子どもの健やかな暮らしと、仕事の重要性を天秤にかけた場合、少なくとも育休復帰直後は前者に軍配が上がります。だからまずは、ママさん受け入れ実績がある職場に行きたい。とりあえず、その時点では、暫定的に。

問題の根幹は、企業の超マッチョ思考

その後、私が見てきた景色はこうです。

まず「暫定的に」という気持ちで、ママにやさしい職場に復帰。そこで第2子出産するなどして「やさしい職場」での経歴が長引く。そして重要な仕事の経験を積みにくくなる。

トモ子

マミートラックとも言いますね。

あるいは、いきなりハードな職場に配置転換。会社を辞めていく。どちらにしても、会社が「ここぞ本流、ここぞ根幹」と見なす職場で、ママ社員は増えません。

トモ子

一部の働き方改革に超前向きな企業は違うかもしれない。だけど、多くの企業で似たような景色が繰り広げられてるんじゃないかと思います。

問題の根幹は、企業の超マッチョ思考です。深夜早朝の無限定な働き方。家庭の都合など関係なく、皆がそこに揃っているべきという前提。少しずつ会社は変わってきてはいるのですが、あまりにも遅い。

トモ子

後輩の姿を見て、これじゃいけないと思うようになりました。

だっていまだに、「会社の本流にとどまったまま、子どもを育てて、かつ働く」ってことが実現できていないんです。会社から聞きたいのは「子育てにやさしい職場があります」っていう台詞じゃない。「子育て中の社員でも最前線に立ち続けられるよう、全力で仕事を見直している」っていう言葉です。

トモ子

これだけ有能な女性社員を集めておいて、現実は「子供を産んだら最前線からは退いて」って、もはや欺瞞じゃないか?と思うわけです。

抜本的に社会の空気を変えてほしい

じゃあどうしたら良いのか?ということなんですけれども。

社会の空気をもっともっと変えるしかないです。会社の経営層にはもっと女性が入るべき。弊社含め、マスコミにはもっと女性がいるべき。こんな世の中じゃ生きていけないよ、という前提でものごとを考えるべきです。

トモ子

家のことは妻に任せてきたという人には、想像しようとしても想像しきれない生活実感があるわけで。

人口が先細る中、今後の経済発展には女性の働き手が重要なのです。女性はそのための教育は十分に受けてきたし、大事な戦力として続々育ってきている。

もう十分に女性は変わった、だから企業がもっと変われ。企業が変わるために、政治が変われ。

個別の論点は色々あります。男性育休をどうするのかとか、選択的夫婦別姓とか、政治におけるクォーター制とか。

徹底的に議論してほしいですね。そして、政治は本気で社会を変えようとしているというメッセージを今以上に発してほしい。それが企業に自己変革を促すし、職場の雰囲気も変わります。

そうすれば、単に自分が産んだからという理由で、女性ばかりが仕事をセーブするということは起きにくくなるんじゃないでしょうか。

誰かがやる必要があるのはわかる。でも、男女お互いに担い合えばよいことです。そのために皆が当事者としてどう調整しながら働くのか?社会全体で再構築しなければならないということです。

わが子だけ逃げ切れば良い、は誤り

長々と不平不満を述べてまいりました。やっと結論にたどり着きました。

トモ子

中学受験をさせたい親御さんは、選挙に行きましょう。

わが子だけが逃げ切れば良い、は誤っています。子どもが将来生きやすい社会にするために、社会の仕組みを見直さなければなりません。そのためには政治が変わらなければ、結局誰かが息苦しい思いを抱えて生きることになります。

今回は女性の生きにくさについてフォーカスして書きましたが、女性の生きにくさは男性の生きにくさでもあります。男女どちらの親御さんでも、子どもの明るい将来を願うなら、週末は選挙へ。そして、あってほしい社会についてもっと発信していこうじゃありませんか。

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