ケアレスミス癖どうしたら治る 凸凹中学受験の振り返り④

白目トモ子(筆者)
メディアの片隅で生き延びてきた物書き。小学生男児2人を育てる。目下の悩みは不登校で発達特性ありの長男の中学受験。
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凸凹中学受験で起きたこと(続き)

その5 ケアレスミスとの戦い

太郎

凸凹中受、ついに終わった!

白目太郎の中受のこれまで

小4でS入塾。S偏55からスタート。同年、発達特性と高IQが判明。ADHD薬の服薬で落ち着きのなさはおさまり、クラスはαに上昇。

小5秋に大失速、サピックス退塾。転塾、再度の退塾を経て小6の夏前からサピックスに復帰。復帰時のS偏差値は54。11月にS偏68を突破し、志望校を開成中学に変更、合格した。

中学受験において「ケアレスミス」は、もはや避けて通れない宿敵だ。「計算ミスさえなければ偏差値60超えた」など、模試ごとに次回での殲滅を誓うのもあるあるだが、凸凹キッズにとっては、ケアレスミスはただの「うっかり」ではない、もはやアイデンティティの一部だった。

長男も、当然のようにこの壁にぶち当たった。

計算ミスも多かったが、特に目立ったのが「聞かれていないことに答える」ミス。親としては「問題文さえちゃんと読めば……!」と歯ぎしりしたくなるが、本人は「ちゃんと読めば解けたし」と不貞腐れ、そもそもそれを課題としてすら認識していないことも多かった。

なぜこうなるのか? これは頭にブレーキをかけられない特性が絡んでいたと思う。

本人としては、問題を読んだ瞬間に「分かった!」と解き始めるため、実際に何を求められているのかを最後まで読んでいない。例えば、A君とB君が池の周りをぐるぐる回っているという世界観を理解した段階で勝手に計算を始め、勝手に数字を出して勝手に答える。聞かれているのが「早さ」なのか「距離」なのかは二の次で、自分が理解した「何か」を答案に書き殴る。普段の話の噛み合わなさと全く同じである。

加えて、脳内での処理スピードと、手が動くスピードが噛み合っていない、答案用紙を整理できずに書き散らす、という問題もある。本人の中では完璧に理解しているつもりなのに、途中段階でメモった数字を読み違えたり、隣の別の数字を使ってしまったりする。

特に長男の場合、「どうせ自分はすぐに解けるから、慎重にやる必要はない」という変な自信も手伝っていた。「自信満々のくせに雑」という、ツッコミどころ満載の状態だ。完璧に解ける自分を信じているからこそ、ミスを認めたくない。だから「たまたま間違えただけ」「本当は解けてたし」と自己弁護が入り、次も同じミスを繰り返す。

こうなると、もはやミスを減らす以前に、「自分がミスをすることを認める訓練」が必要になってくる。親としては「お願いだから『ちゃんと読めば解けた』じゃなくて、『ちゃんと読まなかったから間違えた』と言ってくれ」と思うのだが、それを理解するまでには、相当な時間がかかった。

さて、これにどう対処したか?「注意する」「気をつける」といった精神論はほぼ無意味だったし、親が何かを言って治せるものではなかった。詳しくは項を改めるが、効果があったのは以下のとおり。

瞬発力では解けない思考力系の問題に取り組む

→ 頭をかっ飛ばせるから間違えるのであって、じっくり考える問題では案外取れた。ただし、これらの思考力系問題に取り組める力が必要になるので、これも一朝一夕にはいかない。ある意味「脳にブレーキをかける訓練」でもあったが、慣れるまでは「考え込む=時間の無駄」と思っていた節もあり、定着するまでに時間がかかった。

計算過程を書き散らかさず、整理しながら書く

→ これも親が何度も口酸っぱく注意しても治らなかったが、途中式も採点対象になる過去問に取り組むうちにできるようになった。特に、個別指導で「これじゃ部分点もらえないぞ」と指導を入れてもらったことも効果的だった。結局、外部の大人に指摘されるとあっさり修正するのは、まあよくある話。

問題文に下線を引いて読む

→ 私が何度言ってもできるようにならなかったが、入試本番の問題用紙を見るとしっかり下線を引いていた。個別で指導されたか、直前に自分で気づくかしたらしい。「できない」のではなく、「やる気がないだけだったのでは?」という疑惑が湧いたが、結果的に本番で実行できたので、良しとすることにした。

ただし、すべての本番で実践できたかどうかはまた別の話である。焦りと疲れが勝り、「とにかく最後まで解かないと!」というプレッシャーで、注意力が吹き飛ぶこともあったと思われる(栄東の初回や渋渋)。実力を発揮するにはモヤのないクリアな脳の状態で試験に臨む、という構えもさらに必要になる。

結局のところ、「ケアレスミス」との戦いは、完全勝利できるものではなかった。開成の問題でも「3:1」と答えるべきところを「63:21」とし、さらにそれを左右逆にして「21:63」として1問落としていた。ああもったいない。でもこれでも受かったから良かったよ。

以下は今後書きたいことのリスト。

  • 今日も授業に行けない!
  • 10歳の壁と癇癪と不登校
  • ケアレスミスとの戦い
  • 「眠い・疲れている」が分からない
  • 授業点が取れない
  • 教材以外で学ぶ
  • あと伸びを信じる
  • 成績が上がらない理由
  • 投薬の効果
  • 5年秋で凸を見極め
  • 記述対策で伸びる
  • プロのアドバイスに従え
  • 直前期の爆伸び
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