22:00 何も手につかない(再)
2月1日からの記録
不安そうな長男の発言を聞いて、何も手につかない。落ちた、と明確に結論が出てしまえば、どれだけ楽だろう。そうすれば、全力で次へと気持ちを切り替えられるのに。不安だからこそ、何か確証が欲しくて検索したくなるが、情報を集めれば集めるほど不安が増すことも分かっている。
X(旧Twitter)を封印しているのも、そうした理由からだ。誰かが「簡単だった」と言っているのを見れば落ち込む。いや、アンタもブログに書いてるやないかい、というツッコミは置いておいて。落ち込んでいる時には、さらに落ち込む情報からは最初から距離を置いておくのが吉だ。
「今回は難しかった」「合格最低点は多分150点」みたいな情報が見られれば安心できるかもしれない。でも、そんな都合のいい情報は転がっていない。それにしても、合格発表までの時間が、これほど耐え難い時間だとは。いいなあ、夫は平気そうで。
21:00 寝る前に再度の「やっぱり落ちた」
今日も長男は21時就寝。ベッドに入った長男が、再度私に声をかけてきた。
「お母さん、やっぱり僕、落ちたかもしれない。」
ずっと頭から離れないみたいだ。だいぶナーバスになっている。
「大丈夫だよ。」
そう伝えるのは、「受かるから大丈夫」という慰めではない。どんな結果でもあなたは大丈夫、という私からの太鼓判だ。たとえ今回が残念な結果だったとしても、それは大事な経験になる。どんな結果でも受け入れる準備はあるし、すぐに前を向かせてあげる自信もある。
あなたは、一回の試験でへこたれる子じゃない。
凸凹中受、2月1日開成受験へ向けラストスパートだ!
白目太郎の中受のこれまで
小4でS入塾。S偏55からスタート。同年、発達特性と高IQが判明。ADHD薬の服薬で落ち着きのなさはおさまり、クラスはαに上昇。
小5秋に大失速、サピックス退塾。転塾、再度の退塾を経て小6の夏前からサピックスに復帰。復帰時のS偏差値は54。11月にS偏68を突破し、志望校を開成中学に変更した。
20:40 見てしまった解答速報
しまった。見ないつもりだったのに、つい、解答速報を見てしまった。そして、長男が自信満々で「できた」と言っていた算数で、さらなる間違いを発見してしまった。
もうやめておこう。もう、何も見ない。結果が出るまで、何も見ない。不安になるだけで、何もいいことはない。もちろん、長男には何も伝えない。夫にも伝えない。すべて、見なかったことにする。
その代わり、明日が大雪になった場合の代替交通について考えることにする。考えるなら、なるべく具体的で、落ち込まないことを。考えてもしょうがないことは、頭の中から追いやろう。
20:20 「やっぱダメかも」
前言撤回。「お母さん、やっぱり今日ダメだったわ。さっき受かったって言ったの忘れて」と言われた。思い返していて、別の間違いに気がついてしまったようだ。
そうだよね。不安になる。「受かったかも」と「やっぱりダメだったかも」の間を行ったり来たりするのは当然だ。だからこそ、もう今日の試験については考えない。寝るのが一番。明日も大事なテストがある。考えるのはやめて、今日はしっかり休もう。
結局、受験後はノー勉。我が家は疲労回復を最優先し、おそらく受験が終わるまでこのままノー勉で過ごす。
18:00 「僕、受かったと思う」
「お母さん、これは、夢で聞いたんだと思ってね」と前置きした上で、「僕、受かったと思う」とおもむろに言われた。
ほんとかいな。大丈夫かいな。それで明日油断してダブルで撃沈とか、笑えないんだけど。大丈夫なの? ほんとに?
私が反応に困っていると、「でも、もし落ちてたら、これは夢で聞いたことにしてね」と念押しされた。いや、今から夢で聞いたことにしておきたい。こんな状態で2日も待つのは嫌だ。3日までワープしたい。
理科に関しては、そもそも超絶簡単な年があるので、今回もそのパターンだったのでは?と尋ねると、「そうだったかもしれない」と不安げな顔をする。ただ、「全部が簡単だったわけではなく、結構難しい問題も中にはあって、僕はそれができたから大丈夫」ということらしい。
また、算数は長男が苦手な数の性質、場合の数、条件整理・調べ上げが出なかったらしい。全体的に取りやすい問題が多かったようで、それもあり自信があるらしい。
風が吹いたということなのか。それにしても、怖いな。この油断が怖い。
17:00 「お母さん、ありがとう」
何度も何度も「お母さんありがとう」「僕、頑張って良かったよ」と言われる。肩の荷が下りたようだ。「何のために努力してきたか分かった?」と聞くと、「分かった」と素直に頷いた。やり切った感触はあるらしい。
ただ、軽く問題を見返してみただけで、少なくとも2問の凡ミスが見つかった。1問2点ずつだとして、合計4点の失点。合格ラインギリギリだった場合、この4点が致命傷になりかねない。本人はそれなりに手応えがあったようだが、果たしてどうか。そんな私の不安を感じ取っているのか、「受かるかどうかは五分五分」と言いながら、「思いの外簡単だった」とも繰り返している。
「めっちゃ簡単だったって言って撃沈した日能研の模試もあったしね」と私がぼそっと言うと、本人も苦笑い。そうなのだ。長男は、難しい問題には慎重に向き合うが、「簡単だ」と思った瞬間に油断してミスを重ねるタイプ。難しい方が良かったのではないかという思いもよぎる。
でも、晴れやかな顔を見ていると、それだけで受験して良かったと思える。実力を出し切れたと感じているのであれば、それはそれで一つのゴールだ。もちろん、合格は欲しい。けれど、晴れやかな表情を何よりも見たかったのだと思う。
15:00 長男の雑感
慎重派の長男は周囲に受験生らしき人影がある間は感想を言わない。だが、表情は悪くない。電車に乗り、受験生の姿が見えなくなったタイミングで「どうだった?」と聞いてみる。最初に言ったのは、「サピックスの問題難しすぎじゃない? サピックスの教材のえぐさが分かった」
それはつまり…簡単だったということでしょうか? 以下、長男の雑感
科目関係
- 算数は大問3が沼。だけど大問4が簡単。3で沼にハマってしまうと大変。自分は途中で沼だと気がついて、4に進めた。周りの子も「3が難しかった」と言っていた。
- 国語はわからん。
- 理社は簡単だった。栄東レベル。
- 理科はゴリゴリの計算問題が出た。知識がなくても解けるタイプ。たくさん計算させられた。
- 理科で【a】【b】【c】の中から答えさせる問題で、しっかり【】の括弧まで塗りつぶして再現したが、それで良かったか。(必要ない)
- 昆虫の足は6本、クモの足は8本と答えさせる問題が出た。
- 社会では東京問題がそこそこ出た。周囲に関西の生徒が多く、分からなかったと話をしていた。
- 社会で雨温図を書かされた。
- サピックスの社会の先生の山がかなり当たった。
試験中の雰囲気関係
- 名前を書き忘れていた子が3人いた。呼び出されて書かせてもらっていた。
- 名前を書き忘れた子は、先生に「『名前確認して』と声をかけたのに気がつけなかったのは、うちの学校に入る資格なし。合格できるかどうかは神のみぞ知る」と言われていた。その子は笑ってたけど、あの子落ちるのかな?(心配顔)それは、聞いている側も肝が冷えるわね…
- 休み時間は静かにするよう言われているのに、周りの子たちが騒がしかった。
- 椅子の脚1本でバランス取るチャレンジをしている子がいた。別の子たちはアニメの話をしていた。関西弁だったから、あの子達は関西の方で灘とか西大和とかに受かって来ているのでは。すごいリラックスしていた。
関西勢ではタイミングを合わせて出願したりするのかしら?関西弁が飛び交っていた、とのこと。
14:30 高得点勝負か?
締め切りギリギリまで出願を迷っていたため、受験番号がかなり遅い。校庭で待つ間、「詩が出なかった」「簡単だった」などの発言が聞こえてきて、心拍数が高まる。簡単だったのか…高得点勝負か。1つのミスが致命的になるパターンは長男にとって逆風だ。さて、どんな顔をして出てくるか。
13:55 あと5分
あと5分だ!頑張れ、頑張れ。漢字のミスはないか? 忘れていたあれ、思い出せないか? あと1点のために粘り抜いて。
私も仕事終了。土曜日なのに右上に現れた上司のアイコンに怯えながらも、なんとか粗々仕事を進めた。迎えに行く。
12:15 仕事が手につかない
仕事に取り組もうとしても、まったく集中できない。しょうがないので机の掃除を始めてみたが、小物入れを右にずらしたり、左にずらしたりしているだけだ。頭を働かせる余裕が全く残っていない。心ここに在らずとはまさしくこのことだ。
刻一刻と時間は過ぎる。あれほど準備して迎えた「本番」が、サラサラと流れるように終わっていく。私には何もできない。ただ、時間が過ぎるのを待つしかない。
そろそろ理科の試験時間が終わる頃だ。ここまで、いったいどんな手応えだっただろう。国語は時間内に記述を書き切れたのか。算数は焦らず、いつものように解けたのか。試験と試験の間の休憩時間には、ちゃんと栄養補給ができただろうか。今、どんな顔をしているのだろうか。
9:00 待機は会社で
会社に到着するも、何も仕事をする気が起きない。そろそろ国語の問題が配られたか、「始めてください」と言われたか、時計ばかり見ている。
会社に来たのは、来週締切の仕事を片付けるという目的もあった。本来は1月中に仕上げる予定だったのだが、激しい胃痛で1月はまともに稼働できなかった。理解のある上司のおかげで、締め切りを2月にずらしてもらっていた。流石に次の締め切りは踏み倒せない。仕事に集中しなければ。
8:20 送り出し完了
長男の姿を見送り、学校を離れた。学校向かいのサンドイッチ屋にはすでに長蛇の列。保護者控室で食べるための昼食を調達しているのだろう。待機時間6時間という長丁場だ。私は、控室の圧に耐えられそうになかったので、会社で待機することにしていた。
私自身の平常心を保つため、他の受験生親子の姿は見たくなかった。ここにいる皆がライバルであり、この日この場所にたどり着くために、同じように必死に努力してきた仲間でもある。他の受験生を蹴落としてこい、とは全く思えない。かと言って、皆が受かりますようにという綺麗事も言えない。受かるのは、3人に1人。長男がその1人になれますようにと、シンプルに願うだけだ。
千駄木駅まで一駅歩くことにし、校門を出て右に曲がる。送り出した安堵で、目頭が熱くなる。顔を隠そうと、マスクを目の下ぎりぎりまでずらした。
見学者は目線でわかる。6年の親は自分の子供しか見ていないが、見学者は他の親子を観察している。チラチラと視線を感じる。来年、再来年の受験を見据えた親子が、未来の自分たちを重ねているのだろう。私も同じように、この日を想像し、準備してきた。そして今、その「未来」が現実になった。
ふと、「今」がずしりと重くのしかかる。長男には、このプレッシャーが届かなくてよかった。彼は、周囲の親子には目もくれず、まっすぐ受験会場へと向かっていった。
8:10 見学組の姿もちらほら
早めに行ったつもりだったが、西日暮里駅は混雑していた。6年生よりも小柄な子供たちの姿も混ざっている。道路の向かい側の歩道から学校を眺めている親子もいる。来年以降の受験組が見学に来ているのか。最近は自粛が呼びかけられているので見学はなくなったものと思っていたが、案外いるようだ。中には敷地の中まで入ってきている低学年もいる。弟だろうか。
長男は落ち着いているように見えた。国語の記述の注意点を伝えると、「僕はもうアップデートしたんだ。古い情報でのアドバイスは不要だ」とバッサリ切り捨てられた。いや、最後のSSでもできていなかったから伝えているのだが……。
まあいい。最後の親の助言なんて、本番中には吹き飛ぶ。これは長男のために言っているのではなく、私の不安を紛らわせたいがために言っているものだ。
7:25 カフェでモーニング
途中のカフェでモーニング。受験前に基礎トレをやるというのでカバンに入れてきたが、着手する様子はない。最近取り組んでいた山本塾ドリルも入れておいたが、どうもそわそわして問題が解けないようだ。ページを開いて解き始めたものの、途中で気が散ってやめてしまった。
そわそわしてる? 大丈夫? いや、ここで集中力を使い果たすよりはいいのか。「基礎トレやったら?」とはあえて言わない。必要なら自分でやるだろう。大丈夫、不安がっている様子はない。
6:45 弁当を持って駅へ
夫が作ってくれた弁当をカバンに詰め、駅まで送ってもらう。きょうは受験する学校の中で唯一、午後までかかる。午前中に国語、算数、理科と進み、50分の昼休憩をはさんで、午後には社会がある。
ただ、答案の回収や配布があることを考えると、実際に弁当を食べられる時間はせいぜい30分程度だろう。その間に社会の教材確認もするだろうと考え、片手で食べやすい海苔巻きと大学芋にした。
6:15 え?本番今日?
昨日寝かせたのは21時。布団に入ってから15分ほどで寝息を立て始めたので、たっぷり9時間は寝られたはず。起こすと、「え? 今日本番?」と言いながら起きてきた。
食が細い長男。朝イチでは胃が動いていないので、朝ごはんは家では食べない。学校の近くまで移動して、どこかのカフェでモーニングをとる予定。今日の朝の動きはすでに予行演習済みだ。食べるものまで決めてある。